18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/14(金) 19:39:29.43 ID:g3AOr3Wb0
まあ、小動物好きの成香なら、喋る鯉なんてメルヘンでオカルトなものにも抵抗は少ないのかなぁ、それとも、小動物は小動物同士、何かシンパシーを感じたのかな、と私は変な納得をした。
ヒサ「それじゃあ、楽しかったわ。さようなら」
と身をひるがえし、私達に尾ヒレを振って滝まで泳いでゆく。
19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/14(金) 19:40:05.49 ID:g3AOr3Wb0
この傷は、そうやって出来たんだろうと、容易に考え至った。
成香は、それをただ、心配そうに見つめる。
鯉は、私達に見られるのもお構いなしなのか、何度も何度も滝へと挑戦し続けた。
20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/14(金) 19:40:32.99 ID:g3AOr3Wb0
あまり昏くなると、森の中は危ないし、誓子達に心配される。
成香「ちょっと待って下さい」
成香は、持って来た鞄をまさぐった。
21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/14(金) 19:41:00.73 ID:g3AOr3Wb0
成香「いいんです。私、ヒサさんの何かお役に立つようなことがしたいんです」
と言うと、ヒサは背ヒレをなびかせまた礼を言った。
揺杏「明日も来る気かよ?」
22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/14(金) 19:41:41.43 ID:g3AOr3Wb0
今回はここまでです。
23:名無しNIPPER[sage]
2015/08/14(金) 19:47:23.32 ID:hLaaUkyxo
乙
ヒグマに食われたりしないだろうな…
24:名無しNIPPER
2015/08/15(土) 20:06:32.63 ID:9opVagSh0
二
次の日、部室を覗けば、爽が釣り竿を磨いていた。
私は、滝の傍で遭った鯉の顔を思い出し、心配になった。
25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:07:14.05 ID:9opVagSh0
揺杏「鰻?この時期にか?」
私は爽に言った。
爽「ノンノン。四月にでもなればもう鰻のシーズンさ。そもそも鰻を夏の土用の日に食べる風習は、江戸時代に平賀源内が夏になると暇になる鰻屋の為に宣伝したことだよ。ちなみに脂っこい魚を忌み嫌っていた江戸庶民に、油の乗った鰻が定着したのも江戸中期頃らしいぞ」
26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:20:13.72 ID:9opVagSh0
爽「そうそう。武士文化の強い関東は、腹開きは切腹を連想させるとして、背開きが定着したそうだ。ちなみに『腹を割って話す』商人文化の関西は、関東とは逆に腹開きが一般的だそうだぞ」
しなやかな竹の竿は、爽がハンカチで磨くと、敏捷にその先を弾き、今にも飛沫が舞うような幻覚を私は抱いた。
その時。
27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:20:42.82 ID:9opVagSh0
成香「爽ちゃんは鰻釣りの名人なんですね」
成香がそう言うと、爽は調子に乗ってへへんと鼻を鳴らした。
なんだか、それが無性に腹が立って、
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