281:名無しNIPPER[sagesaga]
2015/12/18(金) 01:46:56.37 ID:hSzpoHNGO
「…」
美嘉とともに舞台袖へアーニャを迎えに行く途中、ふと常務の言葉を思い出した。
『私のプロジェクトには完璧なトレーナーをつけた。体調管理はしっかりやらせている』
そう言って彼女は会場上のVIPルームに閉じこもった。
気遣いなんて、一つも見せずに。
これだから権力好きは嫌いなんだ。
僕らがやってるのはオート育成ゲームじゃない。
全てがマニュアルのリアルなんだ。
…いやゲームの世界だけどさ。
「…GACKTさんとは、大違いだね」
「?」
未央も卯月も控え室で他のアイドル達の準備を手伝っており、話し相手がいないのが不満なのか、ふいに美嘉が口を開いた。
「昔からさ、GACKTさんはスタッフとか、日雇いで来てくれてる人達にも握手しに回ってるでしょ?」
「普通だよ」
「何人いると思ってるの?そこまで余裕無いって」
「練習したことをそのまま出すだけ。出せないなら出せるように何倍も練習するだけ」
「簡単に言うなあ…」
プロがあれが無理これが無理言うなら辞めた方がいい。
そう言おうと思ったけど、こいつなら恐らく理解しているだろうと思い、黙っておいた。
ただの軽口にはもう慣れっこだよ。
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