257: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/12/21(月) 00:39:31.88 ID:ysYD3/IG0
あるいは、告白の返事さえしなければ、少しくらいの間は今までと変わらず入れたのかもしれない。それが彼女の言うところの“延命措置”だ。
だがそれは、まごうことなく欺瞞だ。人の想いを踏みにじる行為だ。自分だけが一時の安らぎを得たいと願っても、相手という鏡映しが自らの首を絞め続ける。果たしてそれは延命措置と呼ぶには程遠いものだ。そのことを海老名さんはわかっていたのかもしれない。
だからこそ、彼女は早々に答えを出した。
「後悔なんて、あるはずないよ」
「……そうか」
「うん。それに、わたしには後悔する資格なんてないから」
そう断ずる声には力がなくて、ともすれば昼休みの雑音にかき消されてしまいそうだった。
「後悔するのに資格も何もないだろ。勝手にすればいい。俺みたいに」
「例えば?」
「あーあれだ。人と会話したあととかに、ああ言えば良かったー、こう言えばキモがられなかったーとか? 色々脳内会話シミュレーションをだな……」
「そういうこと素直に言えちゃうところ、わたしは良いと思うんだけどなぁ」
「そういうのやめてくれ。勘違いしそうになる」
「あはは、絶対しないくせに。……それでも、やっぱりわたしは後悔する資格なんてないよ」
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