7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:31:27.01 ID:BQbk3p4A0
すやすやと気持ちよさそうに眠るその顔があまりにも可愛くて、私の身体は知らぬ内に吸い込まれていく。
間近に見るあかりちゃんの寝顔は、私の知るどんなアイドルよりも魅力的だった。
床に膝をつき、ベッドの上に頬杖をつく。口角が上がっていくのを感じた。とても、幸せな時間だ。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:32:24.99 ID:BQbk3p4A0
時々、考えることがある。いつから私はこんなにもあかりちゃんに惹かれるようになったのかと。思えば、あかりちゃんのオーディションを初めてみた時――あの星宮いちごです事件の時から、不思議な魅力を感じていた。
ポンポンと弾むようなあかりちゃんの声。姿。直向な姿勢。あの時はまだ、弱く細い小さな輝きだったけれど。それは確かに他人の目を引き付ける、アイドルとしての素質だったのだと思う。それを敏感に感じ取った星宮先輩には、感謝しないといけないな。
あかりちゃんと出会えなければ、私は今も一人でアイカツしていたかもしれない。あかりちゃんを通じて仲良くなれた、他のアイドルや後輩たちとも、繋がりがなくなっていたかもしれない。それはつまり、私のアイドルとしての限界。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:35:50.54 ID:BQbk3p4A0
ブブブ、ブブブ
スミレ「っ!!」
あかりちゃんのアイカツフォンルックが震えだす。画面が午前4時になったことを示していた。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:37:23.22 ID:BQbk3p4A0
あかり「あれ…………スミレちゃん?」
スミレ「お、おはよう、あかりちゃん」
混乱した私は、何故かアラームを止めようと伸ばしたあかりちゃんの手に、自分の手を重ねていた。咄嗟のこととはいえ、何やってるの私。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:39:58.06 ID:BQbk3p4A0
少し寝ぼけているのか、手を重ねたまま起き上がった彼女が、やや不明瞭な発声でそう言う。その言葉が、笑顔が、あんまりにも可愛くて、
スミレ「あ、あかりちゃん!」
あかり「きゃっ」
12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:42:08.65 ID:BQbk3p4A0
スミレ「あかりちゃん、あかりちゃん、あかりちゃん」
あの暖かい気持ちが、これでもかというほどに噴出する。胸がいっぱいになって、とっても切なくて。ただあかりちゃんを近くに感じたいと思ってしまう。邪魔な布団を剥ぎ取り、あかりちゃんを直接感じる。ああ、暖かい。いい匂いがする。
あかり「す、スミレちゃん、どうしたの!?」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:44:23.14 ID:BQbk3p4A0
あかり「うん……私はここにいるよ。大丈夫だよ」
そんな私を、あかりちゃんは抱きしめ返してくれた。右手は繋いだまま、ゆっくりと左手で頭をなでてくれる。子どもをあやすような仕草に、しかし私はやっと落ち着くことが出来た。
スミレ「んっ……あかりちゃん、気持ちいい」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:46:36.12 ID:BQbk3p4A0
スミレ「あ、あかりちゃん」
あかり「なあに、スミレちゃん」
少しだけ離れて、改めて見たあかりちゃんは、やっぱり可愛くて。私に微笑む姿が、あまりにも無垢で。
15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:49:35.60 ID:BQbk3p4A0
コンコン
けれど言い忘れたことがあったから、
あかり「はーい」
16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:51:34.13 ID:BQbk3p4A0
あかりちゃんが部屋を出た頃を見計らって、私は戻ってきた。
17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/18(火) 23:53:09.49 ID:BQbk3p4A0
『私は気にしてないからね。今日は夜までお仕事だから、帰ったらお話しよう?』
うう、あかりちゃんに気を遣わせてしまっている。それにお話……一体何を話せばいいのだろう。まずは謝らなきゃ。後は、えっと、説明? 釈明?
でも自分でもどうしてあんなことをしてしまったのかわからない。私はどうして、あかりちゃんにあんなことをしてしまったのだろうか。
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