過去ログ - 【ゆるゆり】櫻子「向日葵ってさ、綺麗だよね」
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10:名無しNIPPER[saga]
2015/08/21(金) 08:06:52.72 ID:yqG5bTi8o
向日葵「……心配してくれていたの?」

櫻子「もう知らない! 勝手に考えてれば!」

向日葵「自分で言ったんじゃありませんの……」

もう泣き顔を見られるのも、辛気臭い顔を見るのも嫌で、私は向日葵に背を向けた。
しばらくすると、押し殺したような声が聞こえてきた。そういえばさっき、何かを押し殺したように見えると思ったけど、
多分今抑えているのは、違うものだと思う。あの時は笑い声なんて向日葵の中には存在しなかっただろうから。

櫻子「……なに笑ってんの」

向日葵「いえ、櫻子があまりにもごもっともなことを言ったものですから」

櫻子「私がごもっともなことを言っちゃおかしいのか……」

向日葵「おかしいのは私の方だって気が付いただけですわ。自分を笑ってるだけかしら」

櫻子「……ならいいけど」

振り向いてみると、向日葵は憑き物が落ちたように、生気を取り戻していた。
けど、普段通りとも言えなくて、どこかで見たような顔をしていた。

向日葵「ちょっと、散歩にでも出かけましょうか」


セミの鳴き声、トラックの走行音、はしゃいでいる子供たち。
私の耳は、住宅街を埋める音に、大して関心が無いらしく、聞き流し気味のようだった。
聞いている音といえば、静かな足音ぐらいだった。四つの足が奏でる、定番のリズム。
私と向日葵は言葉を発することもなく、ただそれを刻み続けていた。
一歩ごとに気持ちが静まって、普段通りに収束していく感覚があった。
きっと、家に帰るころには、元の二人に戻るような、そんな気がする。


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