過去ログ - 柚「そっとあなたに伝えたいから」
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1: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/08/22(土) 21:49:37.37 ID:MJAenSgn0
・喜多見柚ちゃんのSSです
・序盤、地の文 途中で台本形式
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/08/22(土) 21:50:52.68 ID:MJAenSgn0
「簡単に見つかるわけないよなぁ……」
誰に話しかけるでもない、適当に放ったひとりごとは、街の喧騒にかき消されていった。
3: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/08/22(土) 21:52:11.90 ID:MJAenSgn0
しばらくすれば慣れるよ。
同じプロデューサーである先輩は笑いながらそう言ってくれたけど、半年以上経った今でもその感覚は相変わらず僕の中に在り続けていて、慣れる前に心が折れそうだ。
決まるときは決まるし、そうじゃない日は何をやっても駄目。
4: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/08/22(土) 21:54:11.39 ID:MJAenSgn0
この時期、みんな何かしらの用事があって外に出ているだろうに、そこへ知らない男がスカウトと言って話しかけてくるんだから……普通に考えて相手をするわけがない。
都会人はこの人混みという海を平気な顔で遊泳している。
僕はというと、まるで泳ぎ方がわからない鯱みたいだ。
5: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/08/22(土) 21:54:55.36 ID:MJAenSgn0
夜が来てもこの街は明るいままだけど、候補となり得る人物はぐっと減ってしまうだろう。
だから夕方までが勝負。
まだ経験がないからしょうがない。
6: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/08/22(土) 21:56:17.83 ID:MJAenSgn0
目に痛いほどの橙が視界に飛び込んできて、心なしか人の流れが強くなった頃になっても、僕の状況は何も変わっていなかった。
成果なし。
7: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/08/22(土) 21:58:01.37 ID:MJAenSgn0
しばらく行くと、歩道の端でしゃがみこんだ人がひとり、視界に入った。
この都会でもやけに目立つ赤いパーカーを頭まですっぽりと被り、何かをじっと見ている。
気になって近づいてみると、その横顔から察するに女の子で、綺麗な顔立ちをしていた。
8: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/08/22(土) 22:00:57.22 ID:MJAenSgn0
「あ、あの」
思わず声をかけたけど、どうしよう、何も考えていない。
こう言ったら次はこうしようと頭の中で描いていたいものはいつの間にか消えて、そこにはぽっかりと空白があるだけだった。
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