過去ログ - 卯月「プロデューサーさんの、本当の幸せを」
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5: ◆8g8ZKJa8Ps[saga]
2015/08/24(月) 01:39:03.78 ID:20TbIrfu0
 1ページを使ったところで、そろそろ万年筆のインクがなくなりそうなことに気付きました。代えのインクは寮の部屋です。ボクとしたことが、プロデューサーさんのウワサでうっかりしていました。あと9ページ書かないとおまじないにならないのに……仕方ありません、足りない分はボールペンを使うことにしましょう。

 ボクは心行くまでプロデューサーさんへの想いを書きつづった後、手帳をしまいました。ちなみにこれで11冊目です。このペースだとプロデューサーさんと結婚するころには200冊以上になるかもしれません。ボクとしては100冊を超える前には結ばれたいのですけど、仕方ありませんね。だってプロデューサーさんは女性の扱いが下手ですから。ボクがしっかりリードしてあげないといけないんです。

 寮に戻った後、ボクはインクを買いにデパートに行きました。アイドルとして大人気のボクにはあまりまとまった時間というものがないので、買えるときに買い足しておかないといざという時に困るのです。通販で注文するという手もありますが、あの万年筆はプロデューサーさんとボクだけの絆ですから、なるべく余計なモノは関わらせたくありません。

 文具の専門店でお気に入りのインクを買い求めたあと、ついでに書店に寄ります。ふと何気なく目をやったホビー誌のコーナーに、見知った人影がありました。帽子をかぶって変装していますが、同じ事務所の仲間を見間違えるはずもありません。

 特撮雑誌を立ち読みしていたのは、光ちゃんでした。一人のようです。珍しいところで会うものだと思っていたら、これまた見慣れたスーツ姿の男性がやってきました。プロデューサーさんです。

 二人は短く言葉を交わすと、歩き出しました。光ちゃんが雑誌を棚に戻してプロデューサーさんの手を握ります。プロデューサーさんは光ちゃんのほうを見ることもなく、ボクを撫でてくれたその手で、当たり前のように光ちゃんの手を握り返しました。

 ――まるで、恋人同士のように。



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