過去ログ - 「お姉さまに性的行為のお手伝いをして頂きたいと、ミサカは...」【とある 百合SS】
1- 20
2: ◆vJEPoEPHsA[saga]
2015/08/25(火) 01:17:45.00 ID:Qap4Lh7B0
いつも通りの口調で話す御坂妹。
その姿からは羞恥の匂いすら感じ取れない。
9月2日正午少し前。ここは、カエル顔をした医者の病院の近くの公園。
10秒間程だろうか、沈黙が続いた。
この時期になるとセミの声もしない、聞こえて来るのは公園の前を通る仲が良さそうな10歳くらいの姉妹の無邪気な笑い声。
御坂妹と一緒にベンチに腰掛けている美琴だが、彼女は呆気に取られた様な表情で御坂妹を見つめる。
何かの聞き間違いに違いない。
どこの何を聞き間違えてしまったのかを瞬時に探る。
そんな美琴を、覗き込む形で凝視する御坂妹。
聞き間違いようがない、美琴の顔が途端に赤くなる。

「あ、あんた、何言ってんのよ!?大体、性的行為って何よ?」

気付いていた時には自分も妹と一緒になり「性的行為」という言葉を使って反論していた。

「性的行為とはいえ、お姉さまの興味のあるお方と、と言う訳ではありません。」

御坂妹の少し弱気な口調からは、諦めが見受けられる。
そんな口調から一転し、御坂妹は、

「ミサカはお姉さまに自慰のお手伝いをして頂きたいのです、とミサカはミサカの要望を簡潔に言います。」

とはっきりと滑舌良く言った。
刺激の強い「自慰」以上に、美琴にとっては気になる言葉。
「お姉さまの興味のあるお方…」。
ほんの一瞬、あいつとの記憶が蘇った。

「な、な、何よ?別に私はアイツが好きとかいうことじゃなくて、ただお世話になったなあみたいな…」

と、最初こそ威勢が良かった声は徐々にデクレッシェンドする。
まるで、お母さんに怒られて言い訳をする小さな子供の様だ。

「ミサカとお姉さまは基本的に同一素体です、彼との経験はミサカとお姉さまで共通している部分も多いはずです、以上、2つの理由からミサカだけが彼に興味を抱くとは考え難いはずなのですが…?、とミサカは形式的にですが疑問を投げ掛けてみます。」

御坂妹のきゅっと引き締まった口元は彼女の自信を表している様にも見える。
お姉さまの考えている事はお見通しだとでも言うのだろうか。

美琴の頭の中はぐちゃぐちゃだ。
当麻、彼は自分にとって何なのだろうか。
ただのパワフルな友達に過ぎない。
そうだ、そう伝えればいいんだ。
ただ、口から言葉が出てこない。
頭ではそう思っているのに、息は出ている。
ただ最後の最後で、唇の筋肉がそれを許さない。

「も、もういいわよ!で、あの、え、自慰って何よ!?」

話題を逸らした。
結果、「自慰」なんて言葉を公共の場所で言ってしまった。
いや、これは私のせいではない、不可抗力だ。
今にも恥ずかしさで電気が漏れてしまいそうな自分をそう諭す。

「自分の性器を 自分で刺激して性欲を満たすこと。手淫。自涜。マス…」

自慰の説明。
それは極めて感情の込もっていないもので所謂棒読みという奴だ。
でも、美琴は経験から知っていた。
これは放って置いたら終わらない。

「も、もういいから!」

あのジト目は一体全体何を学習装置にインプットしたのだろう、と取りあえず責める先を見つける美琴。
常に自分の口から何かを発する事によって、今にも煙を出しそうなこの気持ちを何とか制御しないと。

「で、あ、あんたのオナニーの手伝いをして欲しいって?だ、だからそれはね皆自分一人でやるものなのよ!これでも私の妹なんだから…、こ、こんな場所で恥ずかしいじゃない!」

所々発声が弱かったり、噛んだりはしたがきちんと言い切った。
ただ、今になって、御坂妹の「自慰」という言葉を「オナニー」と変換した事への後悔の念が沸いて来る。
ふと気付いたかの様に回りを見渡す美琴。
もう一回言うが、ここは一般の人も入れる極普通の公園、今の所たまたま人は見当たらないが、誰か来ようものならかなり面倒臭い事になるかもしれない。
いや、確実になるだろう。
8月31日の学生寮前での当麻との一件の噂もまだ広まり続けているのだから。

その時、御坂妹の表情が一瞬陰った。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
54Res/30.60 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice