4:名無しNIPPER
2015/08/26(水) 00:18:31.68 ID:pd3RV72yO
勇者「待ってください。おかしい点が2つ」
勇者「まず僕は成果をあげられる勇者になり得ません。その点はすでにお分かりのはずです。急いで旅立たせたとしても、僕は無駄に早く死ぬだけです」
神官「確かに」
勇者「もう一つ。わが国から旅立った勇者は、隣国の8名に引けを取らぬ武勲を打ち立ててきたと聞いております」
勇者「幹部魔族の1人を倒したお話も耳にしました。その実力は隣国の勇者1人1人よりも遥かに高いはず。数では負けていても、彼一人で十分のはずでは?」
神官「……ええ。彼は完璧な勇者でした」
神官「強さ。人望。愛国心。全てを併せ持ち、愛され、必ず魔王を倒すと、全国民に信頼を受けていた」
神官「しかし、そんな彼も……」
勇者「……ま、まさか」
勇者「情報は僕のような民間人には回って来ないが、裏ではそのような事態に……」
神官「さすがは物語を綴ることが生業なだけありますね」
神官「そう……」
神官「彼は最果ての街で町娘と駆け落ちし、現在行方不明なのです」
勇者「ぶっっっっ!!」
勇者「か、駆け落ち!?」
勇者「嘘でしょう!?」
神官「彼には常に我々と意思の疎通が出来るよう衛兵をつけていました。その衛兵からの情報です。間違いない」
勇者「な、なんてことだ……由々しき事態には変わりなかったが、理由がロマンチックすぎる」
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