23: ◆.s5ziYqd8k[saga]
2015/08/29(土) 22:51:08.28 ID:CUVui+Kv0
「君は聞いたかなぁ、勇者さまの噂。どこもかしこもそればっかりだよねぇ」
珍しい。こんな夜更けまで、俺の所にいるなんて。
「だってぇ……たまには君と一緒にいたいって、そう思うこともあるんだよ?」
透き通るような青い眼差しも、ふわりと香るような微笑みも。
秘所をどうにか守る程度の布切れ一枚になった姿では、どれもが誘うような色をしているとしか思えない。
……露骨に、誘っているのだろう。
「今日ね、その勇者さまからお誘いが来たんだぁ」
くすくすと、いつも通りの笑い声。
ベッドの上で足を組み替えて、自分の匂いを擦りつけている。
猫みたいだ。口から漏れ出たそんな言葉を彼女はいたく気に入ったらしい。
「あはは。猫はいいよぉ? 魔族の色が強いから私にぴったり」
ふふ、と緩やかに開く脚。真っ黒な生地のショーツの一部は貼り付いて、少しだけ濡れていた。
「にゃーん……ふふ、一晩だけ、ご主人様になってくれるかにゃぁ?」
猫のようにしなやかに伸びる肢体。ピチャリと耳を舐る彼女の舌が、俺の背筋を震わせる。
沸き上がる欲望のまま手を回せば楽だろう。けれど、今はいい。
「……だめかなぁ、やっぱり君はヒドイ人だね」
首筋に掛かる声色はどこか寂しそうで。軽く撫でた髪の毛は、最初の時と同じように戸惑っていた。
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