9: ◆.s5ziYqd8k[saga]
2015/08/27(木) 23:01:59.29 ID:hxdoE4+A0
貯蔵庫に甕を積み、戻って運びを繰り返すこと幾数回。
既に陽は頂点から下がりだし、貯蔵庫には夕食の準備をする騎士見習いの出入りも始まっていた。
俺としては相当な時間が経っていることに辟易するが、同僚にとってはまさに至福の時間。このために城に来たと言っても良いだろう。
「よしよしよっし! おい、夕飯誘われたぜ! 騎士団での夕食だ!」
どこにそんな体力があるのやら。それに、夕食と言っても見習い達とであって、正規の騎士とは別だというのに。
「ばっか、騎士団のいるトコで食べるからいいんだよ! それに見習いだって今後は騎士になるんだ。今から仲良くしとかねーと」
やれやれ。嬉しげに笑われてしまうと、こっちまで笑ってしまいそうだ。
騎士見習いに先導されて進む廊下からは、騎士団宿舎が良く見える。ここを通らせることも、見習いの配慮なのだろう。
同僚は騎士好きだし、気持ちのいい奴だ。ああは言ったが同僚は見習いたちに、半ば仲間扱いされているんだから。
「いいよなあ、騎士団宿舎だぜ。俺も騎士になったらあそこに住むんだよなあ」
今、同僚は連れ立って宿舎へ入って行く騎士達を見ているはず。
……それなら、きっとあの光景を見てはいないだろう。
騎士団長と連れ立って歩く、金髪の少女の姿を。
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