108: ◆tF/D/g0jpg[saga]
2015/08/28(金) 01:09:28.92 ID:axiebuOio
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翔鶴、瑞鶴の機動部隊と合流した矢矧たちは、一路北に向けて航行していた。
完全に姿を見せた朝日が、波間に乱反射してキラキラと輝いている。
その中を進む矢矧たちはボロボロの姿。
けれど、煤や血、海水、そういったもので汚れた顔は、彼女たちの頭上に広がる空よりもすっきりと晴れやかだ。
ただ一人、難しい顔をしている長波を除いては。
「つーかさ、いったいどういうカラクリだったわけだ?」
清霜の肩を借りて航行してはいるが、ダメージは思ったほどではないようだ。
制服のあちこちが裂け、肌のあちこちに切り傷やすり傷で血も滲んでいたし、表と裏で色の違う、いつも手入れをかかさない長い髪も乱れていたけれど。
その髪を提督に褒められてから、手入れが余計に念入りになったらしいという噂を矢矧は思い出す。
「旗艦はいきなり無茶を始める、囮にはされる……もうダメかと思ったら、都合よく瑞鶴のやつだ。どうなってるのか説明してくれ」
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