85: ◆tF/D/g0jpg[saga]
2015/08/28(金) 00:53:55.28 ID:axiebuOio
相手は一撃必殺を狙わず、矢矧たちの移動可能な範囲を覆うように、物量に任せた攻撃をしてくる。
左右両舷から同時攻撃などされたら、神仏に奇跡を願う以外やれることはない。
「雪風です! 一〇時方向低空域に雷撃機編隊三つ! 後続は左舷側に集結中の模様! 今のところ右舷側への展開はありません!」
直前での針路変更は思いがけない効果をもたらしたようだった。
本来であれば、後方から接近した敵雷撃隊は左右へ散開することで、致命的な雷撃を同時に敢行することができた。
けれど、矢矧たちがほぼ側面を見せる形で転舵したことにより、右への回り込みは時間がかかかる。同時攻撃が行えなければ、各個撃破されていくだけだ。
たとえ予定通りに展開して一方が正面から攻撃したところで、そこは火力が最も集中する上に回避されやすい。
現状で一番効果的な方法を選択するならば、側面の一方向から集中して厚みのある攻撃をすることだ。
「左舷へ砲火を集中! 爆撃は意地でかわせ!」
調整していた攻撃タイミングがずらされたことで、今はまだそれぞれの攻撃が散発的になっている。
ならばと、一番厄介な雷撃隊への攻撃を優先する。
少しでも数を減らせれば、この後も楽になる。
「そいつはいいね! 最高の命令だ!」
矢矧の無茶な命令に、長波が不敵な笑みで叫び返す。
左の低い空に集中した火線は、まるで空と海を切り離すような激しいものになる。
そのあまりの激しさに、大半の敵機は魚雷を投棄して退避するしかない。
強引に突っ込んでくるものは、砲弾や銃弾の直撃を喰らうか、吹き上げる水柱に捕まり、海面に四散していく。
「撃て撃て! 撃ちまくれ! 弾なんざ向こうに持っていっても、使い道なんかないぞ!」
長波の怒声が、弾薬の浪費を抑えようと狙いをつけた射撃を続ける清霜と天津風の尻を叩く。
「あんたね! オルモックの時にすっからかんになって、ただの的になったの忘れたの!?」
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