過去ログ - いろは「記憶喪失?」八幡「…」
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29: ◆4JIramcI2o[sage saga]
2015/08/30(日) 13:42:31.21 ID:AEuje2rO0

どれくらいたっただろうか。

また意識がぼんやりと覚醒していく。

ふと、左手に何かが触れているのを感じた。

すこし冷たさを感じるが、柔らかく包み込むような優しい感触だった。


『比企谷君』


その声色は不思議と耳に馴染んだ。

先ほども聞いた気がする。

どうやらまだ、夢の中にいるようだ。


『ごめんなさい』

『私はもう大丈夫だから』

『あなたはちゃんと私を救ってくれたわ』


全身が金縛りにあったかのように身動きがとれない。

おかしいな、夢の中なのに。

ああ、夢の中だからか。


『だから、今度こそ』


少しだけ目を開ける事ができた。


『さようなら』


ぼんやりしていてハッキリと見えなかったけれど。

美しい黒髪が月灯りに照らされ。

目を疑うような美しい少女が。

悲しげな表情を浮かべた儚い女の子が。

居たような気がした。

何か大切なものがこぼれ落ちていくのを感じた。

ゆ…き……


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