過去ログ - 新選組〜あるいは沖田総司の愛と冒険〜
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137:名無しNIPPER[saga]
2015/10/24(土) 00:14:39.62 ID:L+14OgXBO


車は市街地を離れ、しばらく海沿いを走った後で峠道に入った。
低緑樹と砂礫層に覆われた山裾を、道は緩いカーブを描きながら這い上がっていく。


峠を登りきって、見晴らしの良い尾根道に出た。

人家どころか物置小屋さえも見えない風景の中、1車線道路が緩いアップダウンを繰り返しながら続く。やがて道は高木林に入って日が翳った。

緩い左カーブを曲がって林が切れた時、前方に草原が開け、その中央に立つ白い建物が目に入った。


この建物が目的地らしく、車はゆっくりとスピードを落としていった。立地に加え、円錐状の優美なドームを備えた外観からして、どう見ても普通の住居とは思えない。

建物の横でデニスはハンドルを切り、砂利を撒いただけの駐車スペースに乗り入れてエンジンを切った。


周囲には柵も生け垣もなく、先客らしい様々な車種の乗用車が10台ほど止まっていた。


車を降りて周囲を見渡す。

草原の先には、低緑樹と砂地が交互に入り交じる風景が続き、山裾へと緩やかに傾斜している。
かなり下ったところに、四方をトタン板で囲った倉庫らしきものがあり、その真下に、市街地に向けて蛇行する1車線道路が見えた。


さらに遠くを望めば、山稜に挟まれた太平洋が大小の船を浮かべて青くたたずんでいる。
海の青は水平線へ向かって薄められ、空と交わって渾然一体になっていた。


「行くぞ」


はっとして振り向くと、厳しい表情のデニスが帽子を左手で押さえながら、建物の手前にあるアーチ型の門へ向かっていくところだった。俺は老人に従って門をくぐった。

門から石畳を10歩ほど歩いた先の、白く塗られた観音開きの扉の前で老人が立ち止まる。

老人が両手で押すと、扉はかすかな軋みを立てて内側に開いた。



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