過去ログ - 新選組〜あるいは沖田総司の愛と冒険〜
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名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/24(土) 01:36:43.26 ID:L+14OgXBO
「あなたに謝ります。あの時、私は嘘をつきました。私がこの国へ来たのは出張なんかじゃありません。私の国の王に追われていたんです。王が私を殺そうとしているんです!」
「ならばなぜ、あの時そう言わなかった」
「話しても本気にしてもらえないと思ったんです! でもやはり…… 話しておくべきでした。話しておけば、こんなことには、ならなかったかも」
霊媒師の顔に、冷え冷えとした微笑が浮かぶ。顔かたちは違っても、所作は昨日のルイーズそのものだった。
もう俺の目は、霊媒師の顔の奥にほかならぬルイーズを見ていた。
俺は続けた。
「ドクター、この世界であなただけがご存じで、しかも早急に明らかにしなければならない真実があります。……下手人は誰なのです?」
霊媒師の顔が、幼児をあやす祖母のように微笑を浮かべたまま傾げられる。俺は息を詰めて女の言葉を待った。
「お前ではないのか?」
「冗談はよしてください! 今すぐ誰が犯人なのか、ここにいる皆さんに分かる言葉で話してください! これはあなたの義務だ!」
「卑怯者の分際で義務を騙るな」
「何ですって?」
「お前が私に向かって何を騒ぎ立てたところで、どうにもならない。お前はただ一つ、ハラキリをしなければならなかった。それだけだ」
なぜこの女は、こうまでも執拗にハラキリを迫るのだろう? この場で俺が腹を切ったら自分が成仏できるとでもいうのか?
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