過去ログ - 新選組〜あるいは沖田総司の愛と冒険〜
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2:名無しNIPPER[saga]
2015/08/29(土) 23:07:22.29 ID:pSqExQCWO

証券マンが姿を現した。

俺と同じ40代前半くらいの男。地味なスーツに地味なネクタイ、メタルフレームの眼鏡に七三に分けた頭。来訪者に貸与されるIDカードを律儀に首からぶら下げている。


前夜、ドツボにはまった会議が終電近くまで長引いた疲れが残って、些末な用事に対する俺の耐性は低下していた。
だから俺は、どうでもいい来訪者に見せるいかにも多忙そうな所作で立ち上がった。できれば名刺交換だけでお帰り願いたかった。


受け取った名刺を見る。
「○○証券生涯設計担当コーディネーター××」。その××が、もう何百回も繰り返してるといった感じの滑らかな口調で言った。


「よろしいですか? 少し立ち入った話になるのですが」


何? 立ち入った話だと?


俺は見ず知らずのこの男から、いきなり「立ち入った話」を聞かされるわけか?

人事部からは何も、そんな恐ろしげな話など聞いていない。そもそもこの男の来訪に関して、俺は証券会社の「し」の字も聞かされていない。


こいつの会社が取引関係でうちの上層部に圧力をかけ、従業員に半強制で投資信託でも買わせようって営業戦略なら、まあ、苦笑いで済ませられる。

だが、人事が絡んだ上で「立ち入った話」となれば笑い事じゃない。

初対面の社外の人間から、こうも馴れ馴れしく「立ち入った話」を聞かされなければならない事情とは何だ。



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