過去ログ - 新選組〜あるいは沖田総司の愛と冒険〜
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26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/05(土) 23:02:40.15 ID:isVQX5GDO


「ありがとうございます、こちらに記載のフリーダイヤルにご連絡いただければ、この私が最優先で対応いたしますので」

「うちの人事を通じてじゃ駄目なの?」

「はぁ…… まことに申し訳ありませんが、弊社へ直接ご連絡をいただく体制になっておりまして」

「分かったよ。じゃ、2、3日中には」

「どうも、お忙しいところありがとうございました!」


バカ野郎め。忙しいもクソもあるか。
お前の話が嘘じゃないなら、俺は生贄みてえに殺されるんだろ。


無言の悪態が聞こえてでもいるみたいに、男は足早に会議室のドアに向かった。そして、ここを自分の会社と勘違いしているような無駄のない動作でドアを開け、俺を先に通す。


いやに気ぜわしいじゃないかお前。そんなに俺をここから叩き出したいか。


いや、大目に見てやろう。こいつはきっと、ひと仕事終えた解放感から、自分の反省すべき悪い癖を失念してるんだ。ありがちなことじゃないか。

小会議室は俺の在籍する企画部の一角を区切って設けられている。俺は証券会社××を先に歩かせた。

オフィスを出るまで、お互い何もしゃべらなかった。事務用ロッカーやパーティションで仕切られた通路を歩く間、俺と××に関心を向ける者はいなかった。
従業員たちは黙々と業務にいそしんでいた。

出入り口の前で男は深々と頭を下げ、オフィスを出て行った。


俺はエレベーターホールまで証券会社を見送った。男は振り向きもせずケージの中に消えた。



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