過去ログ - 新選組〜あるいは沖田総司の愛と冒険〜
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80:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/28(月) 00:36:23.45 ID:mnWkzDnfO

「そうハラキリ。侍が刀で自分の腹を切り裂いて自殺すること。私の理解だと、あなたの国の侍はそうやって、自分の肉体をもって魂を贖うのだそうね」

「いや、必ずしもそういう意味では」


俺は顧客の機嫌を損ねかけた営業マンみたいにあわてた。そしてそういう連中がよくやるように、相手の鋭鋒をしのぐべく、中身の薄い言葉を並べるのに躍起になった。


「現代の感覚からすると、魂を守るというより、死によって責任の所在や事の真相を闇に葬る側面が強いように思います。正直言って、私はあまり称賛できませんね」


接見室で弁護士に冤罪を訴える被告人みたいに、悲壮な表情になっていなかったろうか。

ドクター「美しい愛」はそんな俺の顔が見るに堪えないかのように、テーブルに視線を落としてカードを集め始めた。


「そうですの? ただ私は、先ほども申し上げたように、文化の多様性には敬意を払っています。私自身は宗教的な立場から自殺を肯定できないけれど、俺さんの国でそれが魂の救済手段とみなされているのなら、尊重されるべきかと。いかが?」


集めたカードを残りの札と一緒に束ねてポーチの中に戻し、女は視線を上げた。
その表情からは、ケシ粒ほども悪ふざけの痕跡が見いだせない。


いかが?


酔いが醒めていく。傲然と俺を見据える女の目をそれ以上正視することができず、俺は自分のグラスに手を伸ばした。



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