過去ログ - 新選組〜あるいは沖田総司の愛と冒険〜
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95:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/12(月) 02:07:17.27 ID:NeZ8MqDRO

車が右に旋回し、坂を下っていく。フリーウェイを下りたらしい。

首を回して背後の窓を見ると、鬱蒼とした木立の濃い影が、切れ目もなく流れている。
いつまで眺めていても、人家が見えてきそうな兆しさえない。心臓が拍動を速め、額に冷たい汗がにじみ始めた。


車が急に速度を落とし、運転手が左にハンドルを切った。運転手が窓を開け、左手を外に出している。外に誰かいるらしいが、何をしているのかは全く見えない。

何かの手続きは終わったらしく、運転手は窓を閉めて車を発進させた。


やはりどこかの敷地内に入ったらしく、ワンボックスカーは騒音を立てるのを遠慮するかのように、闇の中を緩やかな速度で進んでいった。しばらくして車はゆっくりとスピードを落とし、停止した。


メスティーソが立ち上がり、後部ドアを開ける。冷気と闇が車内に流れ込んできた。
他の男たちは座ったまま、立ち上がる気配がない。正面の白人男が言った。


「降りろ」


躊躇する俺を、両側の黒人が脇を抱えるようにして立たせた。

男たち全員が、俺を突き刺すような目で見ている。
その眼差しからうかがえるものは、ひと言で言ってしまえば「敵意」だった。一片の親しみも感じることができなかった。

俺がいたたまれない気持ちで降りるとすぐに、後部ドアは激しい音を立てて閉じられた。

ワンボックスカーはタイヤの軋る音を響かせて方向転換し、来た道を引き返していった。



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