32:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:36:35.29 ID:qeqckZkY0
 ぴにゃ「最近思うぴにゃ。こうして廃寺の奥でじっとしているのが現実なのか、それとも空に浮かぶ島で狩られるのが現実なのかと…… 
     それに、夢の中ではだんだん敵のバリエーションも増えてきて、ウサギのぬいぐるみみたいな怪物に駆逐されそうになったり、 
     巨大化した某アイドルが空から降ってきて押しつぶされたりもするぴにゃ」 
  
 穂乃香「でも、Pさんはこのままで良いんですか?」 
33:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:37:20.59 ID:qeqckZkY0
 ぴにゃ「よくぞ言ってくれたぴにゃ。そうだ、俺の考えた企画をメモにしてくれぴにゃ。 
      会社に帰ったら、それとなしに今の担当プロデューサーに伝えてほしいぴにゃ」 
  
 穂乃香「えっと……」ゴソゴソ 
  
34:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:37:52.82 ID:qeqckZkY0
 穂乃香「えっと……それだけですか?」 
  
 ぴにゃ「それだけぴにゃ」 
  
 穂乃香「つ、次は……?」 
35:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:39:06.92 ID:qeqckZkY0
 ぴにゃ「次は……」 
  
 穂乃香「まだあるんですか!?」 
  
 ぴにゃ「次はアイドル達にお芝居をしてもらうぴにゃ。 
36:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:39:42.26 ID:qeqckZkY0
 穂乃香(確かに、これらの企画はどれも格調高雅、意趣卓逸、考案者の非凡さを思わせるものばかりですね。 
     でも、第一流になるには、非常に微妙な点に於いて欠けるところがるのでは?) 
  
 穂乃香「これでよし、と……Pさんの企画は、全て書き留めておきましたよ」 
  
37:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:40:35.44 ID:qeqckZkY0
 ぴにゃ「俺はなぜこんな姿になってしまったのか、実は思い当たることが無いでもないぴにゃ。 
      俺は人間であった頃、努めて他人との交わりを避けたぴにゃ。 
      同僚たちは倨傲(きょごう)だ、尊大だと言ったぴにゃが、実はそれは尊大な羞恥心というべきものだったぴにゃ」 
  
 ぴにゃ「俺はプロデューサーとして名を残そうと思いながらも、上司に相談したり、同僚たちと切磋琢磨したりすることもしなかったぴにゃ。 
38:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:41:33.68 ID:qeqckZkY0
 ぴにゃ「人生は何事を為さぬには長いが、何事を為すには短いという警句を弄しておきながら、 
      自分の非才を暴露するかもしれないという危惧と、才能を磨くという艱難を厭う怠惰こそが、俺の仇だったぴにゃ。 
      俺よりも貧しい環境に育ち、俺よりも乏しい才能を持ちながらも、それらを乗り越えて辣腕プロデューサーになった者も大勢いるぴにゃ。 
      俺はこんな怪物になった今、ようやくそれに気づいたぴにゃ」 
  
39:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:43:48.29 ID:qeqckZkY0
 ぴにゃ「誰かにこの苦しみを分かってもらおうと、ルーマシー群島の淅々とする木々の間を駆け回ったり、 
      騎空艇から身をのりだして空の底を覗こうとしてみたぴにゃ。 
      でも、誰一人として俺の気持ちを分かってくれなかったぴにゃ。 
      ちょうど人間だった頃、己の傷つきやすい内心を誰も理解してくれなかったように…… 
      アウギュステの海が塩辛いのは、俺の滂沱の涙が注ぎ込まれたことにも一因があると思うぴにゃ」 
40:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:44:47.74 ID:qeqckZkY0
 ぴにゃ「そろそろ、酔わねばならぬ時が近づいてきたぴにゃ。 
      怪物の心になっているとき、俺は穂乃香を傷つけてしまうかもしれないぴにゃ。 
      そうそう、俺がここにいることは他言無用ぴにゃ」 
  
 穂乃香「どうしてですか? 皆さんに事情を説明すれば、きっと……」 
41:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:45:35.16 ID:qeqckZkY0
 ぴにゃ「こちらこそ、こんな不甲斐ないプロデューサーの下で我慢して働いてもらってありがとうぴにゃ。 
      新しいプロデューサーの下でも、がんばるぴにゃ」 
  
 穂乃香「はい」 
  
42:名無しNIPPER[saga]
2015/09/01(火) 21:47:06.03 ID:qeqckZkY0
 綾瀬穂乃香がお堂を出た後、彼女は言われた通りに振り返って、先ほどのお堂を眺めた。 
  
 忽ち一匹の緑色の怪物が、観音開きの扉から階(きざはし)に躍り出たのを穂乃香は見た。 
  
 緑色の怪物は、既に白く光りを失った月を仰いで、二声三声「ぴにゃあああ」と咆哮したかと思うと、周囲の火の玉と共に、又、元のお堂に躍り入って、再びその姿を見なかった。 
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