29: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 21:17:22.69 ID:rrRDANmy0
「し、知りません……」
「遅いのッ……今さら、あのクソ田に謝罪されたって……遅いんだよッ」
「き、来たんですか太田先生」
「来るわけないじゃんッ」
「は、はあ……」
錯乱してるのか。
どたどたと、足音。
「透ちゃんッ、大丈夫かい?」
「お、おばあちゃんッ……」
お婆さんは透先輩の体を抱き抱える。
私は背中の痛みに顔をゆがめながら、
二人を黙って見ていた。
透先輩は嗚咽を漏らしていた。
短かった髪は、いつの間にかポニーテールになっていて。
私の知っている天真爛漫な透先輩はもうどこにもいないのだと分かった。
『先輩大丈夫?』
言葉が耳に残っている。
どうしよう。
お姉ちゃんはもしかしたら、
もう手遅れなのかもしれない。
帰宅する足取りがあまりにも重い。
あの家にいる人間は、本当に私の知るお姉ちゃんなのだろうか。
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