18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/07(月) 00:25:22.49 ID:rVNZ4GiQo
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2月12日、金曜日。
学校の私の席は窓際にあり、暖房が効いているとはいえ窓側から漏れ入ってくる冷気が少し寒いため、冷え性の私にはひざ掛けのブランケットは必須である。
教卓に立つ日本史担当の教師は区切りのいいところまで進めるとチョークを置き、話題転換して自分が担当しているらしい三年生の現在の状況を話し始めた。センター試験の結果がどうこう、私立大学の入試日がどうこうだと言っている。この教師以外にも受験期真っ最中である三年生の話をする者は多く、すでに何度も同じようなことを聴かされているためか生徒は皆意識半分でしか聴いていなかった。
私も書き上げたノートの上にシャープペンを置いて教師の言葉から耳をはずす。肌触りの良いひざ掛けの生地を指でつまんで弄びながら、今週末に一緒になる女の子のことを考えた。
明後日のバレンタインデーは、櫻子と一緒に出かける。
口に出すどころかその言葉を頭に思い浮かべるだけでも恥ずかしいが、櫻子と……デートだ。
私の心の中には二種類の櫻子がいる。ひとつはつい先日まで思い浮かべていた……いや、あまりに会えない期間が続いた結果それしか思い浮かべることが出来なくなっていた、中学時代の昔の櫻子。そしてもうひとつは、今月に入ったあたりから急によく会うようになった、高校生の今の櫻子。
昔の櫻子と今の櫻子が、私の中でほとんど五分五分の位置を占めている。恐らくこれからも会い続けて行くならば、今の櫻子がどんどん記憶を占めていくのだろう。そうならない前に昔の櫻子に思いを馳せた。
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