19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/07(月) 00:25:59.08 ID:rVNZ4GiQo
別々の高校に進むことになるんだという実感が湧き始めたとき、「私がいなくても櫻子は大丈夫だろうか」とそれしか気にならなかった。
小さい頃からずっと一緒で、私は櫻子の世話を焼いてきた。勉強から身の回りの雑事から翌日の学校の準備まで、なかなかちゃんとできない櫻子を支えるのが私の使命とでもいうように誰に言われるでもなくやっていた。
もし私がいなくなったら櫻子はどうなるのだろうというのは昔からよく思っていたことだった。どんどんだらしなくなってしまうのか、それとも人が変わってちゃんとするようになるのか……
……結果は恐らく後者なのだろう。やはり今の櫻子は、私が隣に付きっきりだったときよりもちゃんとしてきている。撫子さんに近づいたというか……大人っぽくなったのをひしひしと感じる。
それはもしかしたら私が中学生の頃に見ていた「理想の櫻子の姿」かもしれない。いつかは私がいなくても立派に自分のことができるような、そんな女性になりなさいよと直接言ったことはなかったと思うが、私は密かにそう思っていた。
しかし今のそんな櫻子の姿を見て、私は一抹の寂しさを確かに感じている。私のいない間に、私の知らない櫻子になってしまったことがどこか寂しい。大人っぽくなれば私に近い存在になるのかと思いきや、私は櫻子を遠くに感じてしまうようになった。
そう考えると、子供っぽいのはどちらかといえば私の方なのかもしれない。私たちの距離が離れて、あの子は成長した。しかし私はいつまでも櫻子のことを考えて心配していて、昔よりもどこか小心になっている。
私は櫻子に何かを与える存在だと勝手に自負していたが、櫻子は私に色んなものを静かに与えてくれていたのだろう。それは言葉で表すことができなくて、よくよく考えても明瞭にはわからないものであるが……それを失った私はいつも不安だったのだ。
やはり私は櫻子を離したくない。いつまでも近い存在で居続けたい。そのためには距離が離れつつあるこの今が重要なのは明らかだった。
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