22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/07(月) 00:28:03.81 ID:rVNZ4GiQo
「なるほどねー。毎年チョコのやり取りしてた感じ?」
「やり取りというか……私が一方的に作ってるだけですけど」
「ほぉ〜、片想いってこと?」
「なっ、そんなんじゃなくて……! あの子はお菓子作りなんてしないので、いつも食べる専門なだけですわ」
「なーんだそっか」
友人はいたずらっぽく笑うと再びコロネにかじりついた。おいしそうにパンを食べる姿がどことなく昔の櫻子に似ていて、今頃あの子は何をしているのかと気になってしまった。
櫻子は向こうの学校でもたくさん友達を作っていることだろう。ということはそれだけ多くのチョコを貰うかもしれない。
ならばその人たちに負けないくらいのものを作らなくては。デートの内容もそうだが締めくくるチョコこそが大事なことには変わりなかった。なんといったってその日はバレンタインデーなのだから。
「いつか会ってみたいなー櫻子ちゃんに。古谷ちゃんのお友達だからきっとすごくいい子だよね」
「さあ、どうでしょう……」
「ええっ、悪い子なの!?」
「ふふっ、悪いわけじゃないですけど……」
この子が今思い描いている櫻子はどんな子なのだろう。今のあの子の人となりを、言葉だけで説明するのは意外と難しかった。
「機会があったら、私も櫻子にあなたを会わせてみたいですわ」
「おぉっ、楽しみ〜!」
この子は私が櫻子を媒介せずに作った数少ない友達だった。この子に会わせれば、私は櫻子がいない間もそれなりにうまくやっていたことを示せるかもしれない。
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