25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/07(月) 00:29:59.26 ID:rVNZ4GiQo
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家に入る前は微妙そうにしていた櫻子だが、家の中でする私との話は意外と真剣に聴いてくれた。
櫻子がいない間の学校生活。どんな友達ができたか、最近はどんなことをしているか。暖かい部屋の中、楓も一緒になって櫻子と話した。
楽しく話をしている中でも、私は心の隅に昨日の駅前での出来事が残っていた。そんなすぐに忘れられるわけもないのは当たり前だが、しかし櫻子が終始穏やかでたくさん笑顔を浮かべてくれているのを見ると……昨日最後に意識から無理やりかき消した“あれ”は間違っていないのかもしれないと思ってしまう。
つつしみないことだとわかっているけれど……私は嬉しいという気持ちを抑えられない。だって私は……あなたが好きなのだから。
楓と話している櫻子の横顔に、無言のテレパシーを送る。
――櫻子、私は昔と変わりました。
あなたのいない間、あなたのことを考えて。
あなたのことに、素直になれました。
――あなたはどう?
私のことを……どう思ってますの?
「ありゃ、もうこんな時間になっちゃった」
「あっ……じゃあそろそろ外に出ますか。ランチのお店も決めてあるんですわ」
「そうなんだ。楓も来るの?」
「楓は午後から学校のお友達のおうちに行くの。だから櫻子おねえちゃん、いってらっしゃいなの!」
「わかった。またね」
お気に入りのコートを着て櫻子と一緒に外へ出た。ランチ予定のお店は自宅から少々距離があるが歩いて行ける範囲だった。
せっかくのデートだし手でも繋ぐのが筋かと思ったが……さすがにまだそこまでの勇気がでない。でもこうして二人並んで歩くのも久しぶりすぎて、それだけで私は胸の内からぽかぽかと温かいものを感じた。
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