52:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/07(月) 00:56:22.96 ID:rVNZ4GiQo
「向日葵が眠った頃に……こっそり会いにいった。私のことに気づかなくても、私は向日葵の顔が見れるだけで充分だった……向日葵はいつでも近くにいるんだって思ったら、どこまでも頑張れる気がした……」
「楓も、花子も、ねーちゃんも……みんな私のこと知ってるんだよ。だから私に協力してくれてた。向日葵には全部秘密にしといてねってお願いしたから、みんな言わなかったと思うけど」
「今月に入って急に、向日葵がお菓子作ってきてくれるようになって……嬉しかったけど、ちょっとやばいって思った。最後の最後に気を抜いたら、夢が果たせなくなっちゃうかもって……」
「でも花子に言われてね……『ひま姉のことも考えてあげて』って。だからバレンタインのデートに付き合ってあげようって思った。最後の最後、そこで一旦会うのを終わりにしようって」
「だけど……無理だった。向日葵とのデート……ずっと向日葵のために頑張ってた私が、向日葵とデートなんかしちゃって……そんなの楽しいに決まってんじゃん! そんなの……ずっと望んでた夢だったんだからさ……」
「どこで切り出すかはあの日ずっと悩んでて……中学校に行って、チョコ渡されて……向日葵が良いこと言い出したから、まずいと思った。ここで言わなきゃ、もう言えなくなっちゃうって」
「目の前の向日葵と一緒にいるためには……夢みたいなその日をこれから先もずっと続けていきたいなら、ここで最後ふんばらなきゃって。一緒にいちゃダメなんだよって言ったのは、そういうことだったの……」
あのバレンタインの日の櫻子の心情を……私は心からわかっていなかった。櫻子が隠していた秘密を知らなかったから、当たり前なのだが……
話をしながらどんどん涙をこぼす櫻子。あの日の気持ちを思い出して泣いているのだとしたら……やはり櫻子も辛かったのだろう。あの時の私と同じ胸の痛みを、櫻子も感じていたのだろう。
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