55:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/07(月) 00:58:45.46 ID:rVNZ4GiQo
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春。
寒さ厳しい冬とはうってかわって、今年の春は早いうちから暖かかった。積もった雪はほとんどが溶け、日差しを浴びればうららかな季節をつよく体感できた。
「おはよー古谷ちゃん!」
「おはようございます、皆さん」
「ね〜ほんとよかったまた一緒のクラスで! もし離れちゃったらどうしようって、ここ来るまでずっと心配でさ〜……!」
「ふふふ……私もですわ」
席を確認すると、私は新しい教室でも変わらない窓際の席だった。荷物を机に置き、窓から校庭を見ると……そこかしこで桃色の桜が満開に咲き誇っていた。
春風に吹かれて、桜の花びらがひらひらと舞っている。窓を開けて見下ろしたところではたくさんの生徒が入り乱れて話している。今日から入学する新入生たちだろう。
始まりの季節であることを実感し……私は去年の自分を思い出した。
去年の春は……私にとっては、「始まりの季節」というよりは「終わりの季節」の方が大きかった気がする。
しかし、今年こそはようやく始まった気がした。
先の見えない暗い道ではなく、明るく輝く光の道を……あの子と一緒にまた歩いていける、そんな気がした。
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