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2015/09/07(月) 08:41:20.85 ID:Ivw4NZoU0
立て付けが悪いドアをギィと押し、客のいなくなった店内に戻ると樽ジョッキを棚に戻す女性と目が合う。
少女「終わりました?」
青年「ああ。そっちは?」
少女「グラスを拭いて終わりです。50個くらいありますけど。」
青年「忙しかったからね、手伝うよ。」
少女「大丈夫ですよ、10分もあれば終わります。こちらにどうぞ。」
ことりとジョッキを棚に置いた彼女は目の前のカウンターに青年を促した。
青年「へぇ、慣れたもんだね。」
背もたれの無い椅子に座りながら青年は彼女に微笑む。
少女「ふふ・・。仕事は神様からの贈り物です。粛々とこさなきゃいけません。」
そう言うと彼女はグラスの拭き取りに取り掛かった。
まるで手品師が扱う布のように、水滴で輝く曲線を器用に拭っていく。
カウンター越しにその様を見つめる青年は小さくも確かな幸せを感じていた。
ランプが照らす店内には二人。
雨の音はやや強まり、世界を切り離す。
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