6: ◆u6cuCBJb9.[sage saga]
2015/09/07(月) 21:23:05.52 ID:xw2f3qYb0
  
  提督が小さい頃、私は提督のMotherの代わりって訳じゃないけれど提督の面倒を見ていたんだヨ。 
  
  知ってますか? 
  
  今でこそ作戦中はキリッとした世界一カッコいい顔で私たち艦娘に指示を飛ばす提督ですけれど小さい頃の提督って、今と違って人見知りするshyな子だったんだよネ。 
  
  初めて会った時なんて私が「Hi、金剛デース! よろしくネ! アナタのお名前は?」と声をかけてもペコって小さくお辞儀をしただけで、提督のMotherが「ご挨拶なさい」と言われてようやく名前を教えてくれたんデスヨ。 
   
  しばらく面倒みながら一緒に遊んでいる内に提督も心を開いてくれて私のことを「こんごうお姉ちゃん」なんて呼ぶようになって……とーっても可愛かったヨ! 
  
  提督、覚えているカナー? 午後のtea timeで食べるおやつのホットケーキを一緒に作ったこと! 背が足りない提督が台に立って、生地の入った銀色のボールを一生懸命に混ぜたのを私が焼いたっけ。 
  
  そんなある日いつもみたいにお勉強の終わった提督と遊んであげようと思って部屋にいくと提督が何か作っていマシタ。 
  
  紙コップの底に穴を開けて、糸を通していて、通した糸を爪楊枝にくくりつけて、テープで止める。 
  
 「ピンクのおねえちゃんに教えてもらったんだ」 
  
  提督が作っていたのは糸電話だったんダヨ。 
  
 「Oh、上手に出来てるじゃないですカー! 早速使ってみましょう!」 
  
 「う、うん……」 
  
  二つのコップを繋げた糸がピンと張るまで離れて、私は提督の背に合わせるようにしゃがんでコップを耳に当てマシタ。 
  
  静かになった部屋でコップから聞こえてくる小さな波のような綺麗な音が響いてきマス。 
  
 「こ、こんごうお姉ちゃん。お、おーとーねがいます」 
  
  提督の声はいつもの子供らしい高い声を頑張って低くして威厳を出そうとしながら喋ったノ。まるで提督のFatherが私に命令をする時のように。 
  
  提督、小さいなりにFatherのお仕事をぼんやりとだけど分かっていたみたい。  
  
 「Hi、こちら金剛デース! どうしましタ?」 
  
 「え、えっと……えっと」 
  
  心を開いてくれていてもshyな部分はまだ変わってませんデシタ。 
  
  だけど、提督は何かを伝えようと頑張っていたから、私はそれをじっと待ちマシタ。 
  
 「こ・ん・ご・う・お・ね・い・ちゃ・ん……い・つ・も・いっ・しょ・に……あ・そ・ん・で・く・れ・て…………あ・り・が・と・う」 
  
 「……っ!」 
  
  それを聞いたとき私の心の中が何かでいっぱいになったんダヨ!!! 
  
  だって、あの人見知りでshyな提督が私に「ありがとう」ダヨ!? きっともの凄く勇気を出したと思いマス。 
  
  こんなに嬉しいことはなかったネ。 
  
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