過去ログ - 鳥海「秋は好きですか?」【艦これ】
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8: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/09/11(金) 10:21:22.41 ID:glDuTgvI0



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誕生日なんて日には何も感慨もない。

育ての親はそういうのに疎かったし、人伝に聞いた誕生会やご馳走、ケーキなんて子供らしい憧れは自分には無縁なのだと齢が十を数える頃には気づいてしまっていた。

奥底で未練を仕方ないと割り切った身には、誕生日を祝いたいと言った鳥海は眩しく思えた。

どうしてか艦娘は人間以上に人間らしい。

いずれにせよ今後の俺が歳を取ってどんないいことがあるんだという話だ。

だから誕生日なんてのは、本当なら進んで話す必要がないだけで隠すような秘密ってわけじゃない。

それを言えなかったのは聞いた相手が鳥海だったからだ。理由もほとんど一方的な感傷に近いのだろう。

それに今黙っていたとしていずれ分かるのだろうから、下手に隠すと無用な誤解を招くかもしれない。

話せばよかったんだ。と頭では分かっていても難しい。

どこかで話す機会もあるだろうと考えている内に機会もないまま時間が過ぎていった。

自分の中での優先度が低くて後回しにしていたのも裏目に出たのだろう。

ほとんど忘れていたそれを誕生日の前日になってまた思い出して、やはり機会もないまま当日になっていた。

ただ俺は忘れていた。

俺も鳥海も秋を穏やかで落ち着いた印象のように受け止めていたが、そもそも秋の空は変わりやすいものの喩えとして使われるわけで。

秋というのはいきなり移ろう。兆候に気づかなければ別に穏やかでもなんでもなく。

だから、これは俺には降って湧いたような話だった。



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