過去ログ - 【咲-Saki-安価】逸-ITSU-　山梨県大会編・第二局【オリキャラ】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲-Saki-安価】逸-ITSU-　山梨県大会編・第二局【オリキャラ】

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999:名無しNIPPER[sage]
2015/10/05(月) 22:41:53.18 ID:r74IEGx+o
番外支援ＳＳ『護る者』

私の名前は響。沙条響（さじょうひびき）。小学生だ。

なにをやっているかというと……一人麻雀だ。なぜかと言われると、一緒に打ってくれる人がいない。最初はそうじゃなかった。もともと友人に誘われて始めたからね。

けど、そのうち打ってくれる子がいなくなった。幸か不幸か私は先天的な能力持ちだったからだ。

『不利になればなるほど神がかり的に配牌が良くなる』……我ながら理不尽な能力だ。

考えてみて欲しい。一生懸命やって勝っていた試合を、理不尽に運だけでひっくり返される。そしてその運は何度やっても自分に傾くことはない。相手からしてみればやってられるかとなる。当然のことだ。

子供の私は最初無邪気に、ただ本気で戦うためにこの能力でいろんな人に勝った。気が付いたときには手遅れだ。能力を使えば相手にとって理不尽な勝ち方をし、使わなければ手を抜いたと責められる。

やがて、相手にしてくれる子はいなくなった。まあ、自業自得なのだろう……強いて言うなら、神様はどうして私なんかにこんな能力を与えたのだろうか。

湊「ちょっといい？」

響「……？　君は？」

湊「私は朝月湊（あさづき　みなと）。いつか頂点に立つ者よ！」

響「……は？」

湊「沙条響さんよね？　よければ、一緒に打ってくれない？　他の子たちと一緒に」

響「いいのかい？　私は――」

湊「私が良いって言っているからいいのよ。さ、やりましょう！」

湊「うー！　なんなのよこれ！　もう一回、もう一回よ！　いいでしょ！？」

響「私は構わないよ」

……沙条さんは負けず嫌いで、不思議な人だ。

私が理不尽な逆転劇をしても、悔しがるけど、責めたり腐ったりしない。そして勝とうと何度も勝負を挑んでくる。

響「……沙条さん、貴方はどうしてこうまで負けず嫌いなんだ？」

湊「それは私はいずれ一番強くなるからよ！　そう簡単に諦めたら一番になんてならないわ！」

湊「だったら私の周りで一番強い、響と打つのは当たりまえじゃない。悔しいけど今は私より強いし。今は」

響「別に今を強調しなくてもいいよ、本当に負けず嫌いだね沙条さんは」

湊「……それに、響と打つのは楽しいし」

響「……は？　なんでそうなるのかい？　楽しくないんじゃないかな。私と打っても」

湊「なんで？　そんなことないわよ」

響「それは……実力でもなんでもない、理不尽な能力で逆転されるなんて、誰だって不愉快じゃないかい？」

湊「そんなことないわよ。それは紛れもない響の力でしょ？　イカサマとかじゃないんだし。遠慮することなく使えばいいじゃない」

響「……！　私の、力？」

湊「それに、上の方に行けば、それこそもっと理不尽な能力を持った人なんてたくさんいるのよ？　私はそんな人達に勝つんだから」

響「……参ったな」

……沙条さんは負けず嫌いで、不思議な人で。そしてとても素敵な人だ。たぶん、この子は『今の』私なんかよりもよっぽど強くなる。

――そう、あくまで『今の私よりも』だ。

響「私はそう簡単に追い越されるつもりはないよ、『湊』」

今から私達は友人で……そしてライバルだ。勝手に私がそう思うだけだけど簡単に置いて行かれるつもりはないよ。

湊「私だって負けないんだからね響！」

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