過去ログ - みーくん「ゆき先輩が元気一杯なので全力でカンチョーをしてみる」
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117:名無しNIPPER[saga]
2015/09/26(土) 22:53:42.87 ID:RK0NB/Bco
嘘……。嘘ですよ……ね?

こんなのないですよね。何で私が……太郎丸に……噛まれ……。

私は叫びました。心の底から叫びました。何を叫んだかは覚えてませんし、それはもしかしたら言葉になってなかったかもしれません。ですが、何かを精一杯叫んだのは確かです。

私はほとんど半狂乱になっていました。

先程、私は自分が死ぬ覚悟も出来ていると言いました。その時の言葉に嘘偽りはありません。ですが、実際には出来てなんかいなかったんです。まやかしだったんです。私は切実に死にたくありません。ゾンビにもなりたくありません。誰か助けて下さい。私を救って下さい!

気が付くと私は駆け出していました。駆け出せば、この場から逃げれば、何もかもなかった事に出来るようなそんな気になりました。

しかし、そんな楽観的観測は後ろから追いかけてくる何か得体の知れないドス黒くて大きい『人でもゾンビでもない何か』によってあっさりとかき消されました。

それは恐らく『恐怖』、あるいは『死』だったのだと思います。私はもう一度言葉にならない何かを叫びました。

嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ。怖い、怖い、怖い、怖い、怖い!

私は小水を撒き散らしながら廊下を駆け抜け、階段を二段飛ばしで走り上がりました。まるで後ろから何人もの死神が鎌を持って追いかけて来ている様でした。とにかく必死でした。逃げ出さなければ、すぐさま捕まって殺されるような気がしました。

バリケードが前に見えます。いつのまにやらここまで辿り着いていたようです。私は涙と鼻水とおしっこを垂らしながらバリケードに取り付いて上ろうとしました。手が震えていて上手くロープを掴めず、いきなり滑って転びました。痛さはまったく感じません。焦燥感だけがどしどしと私の背中の上に積み上がっていきます。苦しいです。息がきちんと出来ません。吐き気がして、ろくに酸素が吸えません。

私がゾンビに……! ゾンビに……!!

人間としての生活はもうお仕舞いなのでしょうか? 人間が人間である為の尊厳や理性などを全て失い、ただ徘徊するだけの肉の塊となってしまうのでしょうか? ゆき先輩やみんなとはもう会えないのでしょうか? 会ったとしてもゾンビとして殺されるだけなのでしょうか? そして、そうならなかった場合、私はみんなを襲って同じくゾンビに変えてしまうのでしょうか?

嫌です! とてつもない悪寒が全身を駆け抜けます。脳内を沢山のムカデが這いずり回っているような気がして、私は頭を思いきり振り回しました。床に強く打ち付けました。

嫌です、嫌です、嫌です、嫌です、嫌です、嫌です、嫌です!!

ゾンビは嫌です! 死にたくも殺されたくもないですし、殺したくもありません! 私を殺さないで下さい!!


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