過去ログ - 【逸-ITSU-番外編】ちょこくろね
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3: ◆7Wolp74API[saga]
2015/09/17(木) 20:13:37.88 ID:Ukgm855N0

「辰美......私、まだそういうのは」

「ほほー、玄姉ももうすぐ中学生だから何かあると思ったんだけどな」

「ないよそんなの......」

「へぇ〜」

私は夢を持たない。

夢なんてなくても、人生なんとかなる―――そんな風に考えていたからだ。
今はもちろん違うけど。

正直言って、私は麻雀を職業にすることには抵抗があった。
麻雀は確かに好きだ。でも、プロになることは考えてはいない。

あくまでも趣味の範囲である、仕事にはならない。
小学生なりに、考え抜いた結果だ。

「あ......ツモ、16000オール」

「ええっ......」

「これは酷い」

麻雀は一年生から始めた。
頭のキレは良かったし、大人相手にもよく勝った。
六年生になる頃には、県の大会で優勝し、地元では敵無しとなっていた。

中学生になっても、きっと続けるだろう。
周りの評価もどんどん高くなっていった。
それと引換に、普通の生活は送れなくなっていた。

山梨県最強。

その称号は枷となり、邪魔となる。
それでも取り外せない、損なものである。
栄誉ある称号なのに、本人には価値がない。

中学校に入学すると、私を止められる人は山梨県にはいなかった。

インターミドル無差別級優勝(次の年からは御影プロの息子に負けたが)。
インターミドル個人戦優勝(次の年は負けたが)。
新人戦優勝(次の年も)。

一年生時に輝かしい経歴を手にいれてしまった私は、麻雀において死んだ。


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