過去ログ - 日向「こぼれ落ちる言葉」
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3: ◆u6cuCBJb9.[sage saga]
2015/09/19(土) 15:30:26.62 ID:Xmn6YKTJ0

 そうだ……いつだったか私が大破した時があっただろう。

 幸いお前の活躍もあって戦場で命を散らすことはなかったが黒煙を噴く艤装を背に帰還した時、私はどこかで死を覚悟していたのさ。

 いつ艤装に積まれた火薬に引火するかも分からなかったからな。

 引火して、そこから誘爆のリスクを考えた私は、他の艦隊のメンバーとは別の隔離された無人のドックでひとり消化作業を受けようとすると提督は誰よりも早く血相を変えた顔で駆け寄ってきたんだ。

 そして提督はおもむろに私の体を抱くようにして艤装から引き剥がしてくれたのだ。

 酔狂な男だと思わないか。艤装を外すことなど機械に任せておけばいいのに……だ。そもそも、これでは私が別のドックに入った意味がないではないか。

 もちろん提督が艤装を扱う「本体」である私のことを考えての行動というのも分かっているつもりだ。どれだけ艤装が傷つき破壊されたとしても、扱う私たちが無事ならば修理を待てばいいだけなのだからな。

 しかし、仮にも艦隊を預かる身だというのに余りにも軽率だ。

 上官が部下のために命を賭ける。美談と言えば美談だが、それは互いに無事であったからという結論にすぎない。

 もしも、それで提督の身に何かあったのなら私は上からの言葉を待つまでもなくこの腰に携えた刀で躊躇なく自分の首を刎ねていただろうさ。

 私を艤装から引き剥がそうとする時の必死な表情。今でもこの脳裏に焼き付いて離れない…………本当に危なかっしい人だよ。



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