80:名無しNIPPER[saga]
2015/10/01(木) 00:41:11.24 ID:8UsCnAjno
@猫
部室に行くと淡さんが櫛で髪を梳かしていた。
風でぼさぼさになってしまったらしい。
じっと見ていると、「やらせてあげてもいーよ」と櫛をこちらに突き出してきた。
猫じゃあるまいし、毛繕いに興味はないよ
と言って拒否すると、「もう絶対にやらせてあげないんだから!」と憤慨の様子で、その後の部活では3回ほど箱にされた。
部活も終わり牌磨きなどをしていると、静かな寝息に気づけば僕と菫さんしか残っていなかった。
菫さんはお疲れのようで、ソファにもたれ掛かって寝ているようだ。
放って帰るのも意地が悪いと思い、起こそうと近づいたところ窓から入り込んだ夕風が菫さんの長い黒髪をさらりと揺らした。
何気なく髪の一房を手に取り、するりと流す。
滑らかな手触りが心地好い。
一房、また一房と手櫛で梳っていくとさらさらと流れるその清廉さに心が奪われていく。
夢中になって、気づくと菫さんがうっすらと目を開けて僕を見ていた。
慌てて身を離すと、菫さんは微笑んで、「毛繕いに興味はないんじゃなかったのか?」などど言う。
真っ赤になった顔を悟られぬよう、そっぽを向いて、にゃあ、と言ってやると、菫さんはくすくすと笑いながら僕の頭を一つ撫でて、「戸締まりはよろしく。また明日な」と帰っていった。
残された僕は、菫さんが撫でてくれたところに手をやって、遠くなる菫さんの背に、にゃあ、と呟いた。
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