過去ログ - 唯「光を喰らう魔物」 -SS速報VIP

過去ログ - 唯「光を喰らう魔物」

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1: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:30:58.50 ID:Lorn2sB6o

◆◆

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2: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:31:50.42 ID:Lorn2sB6o

――その日目覚めた私が真っ先に目にしたのは、真っ白い天井だった。

3: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:32:52.24 ID:Lorn2sB6o

「………………」

その子はしばらく眠そうな瞳で私を見つめ続けたけど、数秒か数十秒か経った後に瞳に涙を滲ませ、抱きついてきた。

4: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:33:58.10 ID:Lorn2sB6o
◆

――短髪の男性がお医者さんを呼んできて、長髪の女性がどこかに電話をかけて、私の周囲にはあっという間に人が増えた。

5: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:35:25.73 ID:Lorn2sB6o

律「……敬語なんてやめろよな。同級生だろ、私達」

澪「記憶がないって言ってるだろ……」

6: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:36:48.48 ID:Lorn2sB6o
◆

――あるらしい。あったらしい。私もしっかり堪能していたらしい。
というか、私はそのお茶とお菓子に釣られて入部したようなものらしい。

7: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:37:46.06 ID:Lorn2sB6o

医者「君は……『魔物』に襲われたんだ」

8: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:38:45.39 ID:Lorn2sB6o

医者「だから、目撃者の言う通りなんだろう」

唯「目撃者？」

9: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:40:59.71 ID:Lorn2sB6o

律「……ありがとな、唯」

唯「えっ？」

10: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:42:10.37 ID:Lorn2sB6o

「最初からそのつもりではあったけど」と付け加え、照れくさそうに頬をかく律さん。
その隣に座る澪さんと、そのまた隣にいる紬さんも、律さんに続いて言葉を発してくれた。

11: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:43:07.04 ID:Lorn2sB6o

紬「そっちは私達に任せて。ここにいれば安全だから」

律「記憶が戻るまでゆっくり休んでりゃいいさ」

12: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:44:03.14 ID:Lorn2sB6o
◆

――それから少しだけお父さんお母さんとも他愛のない話をしたけど、思い出せた事は無かった。
でもなんとなく落ち着くのは、やっぱり家族だからかな、とは思えた。

13: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:45:07.42 ID:Lorn2sB6o

唯「でも、ね」

14: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:46:29.83 ID:Lorn2sB6o

梓「……念には念を入れて、ゆっくりやろう、ということですか」

医者「……記憶喪失で日常生活に支障をきたす人もいるんだ。そうならなかった不幸中の幸いを、手放すような事はあってはならない」

15: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:47:19.27 ID:Lorn2sB6o

唯「……どうしたの？梓ちゃん」

梓「ん、いえ……」

16: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:48:23.20 ID:Lorn2sB6o

唯「……おはよう、梓ちゃん」

梓「……はいっ、おはようございます」

17: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:50:00.57 ID:Lorn2sB6o

梓ちゃんが正直に吐き出したその言葉の中には、私を責める言葉は一切無い。私が申し訳なさに心を痛める言葉こそあれど、梓ちゃんはそんな意図を一切持っていない。
だから私は頑張らないといけない。痛みに落ち込むのではなく、責められない事に楽観するのでもなく、ただ、自分自身と皆の為に頑張るだけ。
頑張って、何があっても頑張って、記憶を取り戻す。それだけなんだ。

18: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:51:15.19 ID:Lorn2sB6o

唯「……よかった」

19: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:53:35.00 ID:Lorn2sB6o

だけど、昨日と何も変わらず私の記憶は応えてくれない。

20: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:55:26.20 ID:Lorn2sB6o
◆

律「――ここまで、和の件以外特に進展はなし、か」

21: ◆folQd47dMc[sage saga]
2015/09/21(月) 21:56:23.37 ID:Lorn2sB6o

紬「と言いますと？」

父「……猫の被り方も忘れるくらい、唯の事を心配していたということさ」

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