過去ログ - 朝日奈葵「苗木ととれーにんぐ!」
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9:名無しNIPPER[saga]
2015/09/27(日) 00:48:23.29 ID:TJEoPB8O0
じり、と内股になっていた太腿が擦りあわされた。
生唾を呑み込む音は、果たしてどちらの喉から鳴ったものなのか。
ボクといえば、一瞬声も出せなかった。
「そ――そんなことになってるの?」
半分空ろになりながらもようやく、ボクが無難な(?)言葉を搾り出すと、彼女は慌てて否定した。怒り気味の声と表情は恥ずかしさの裏返しだと、さすがにボクでも分かった。
「ち、違うよ! 前に、苗木にシミュレーションをお願いしたでしょ? その延長っていうか、真逆っていうか、平行っていうか、垂直っていうか――」
こちらが口を挟む隙もないくらいに捲し立てる。じっとしてはいられないと言わんばかりに身振り手振りを交えるせいで、彼女の健康的な体がふるふると弾む。
「こんなことお願いできるの苗木しか居ないっていうか、他の男子なんて絶対イヤだし、あの、その……ちょっと苗木ってば、ちゃんと聞いてる?」
最後にずいと胸――じゃなくて顔を突き出して来た。
「き、聞いてるよもちろん……」
自分でもしどろもどろという表現がよく似合う回答の仕方だった。ていうか今問い質されたのって、ぜったい朝日奈さん自身が言葉に詰まったからだよね……
そんなボクの煮え切らない態度を不満の表れと受け取ったのか、彼女は腕を組んで追及してくる。
「……じゃあ、私がなんて話してた説明してみてよ」
ぷくーっと頬を膨らませて拗ねたように言う朝日奈さんはとても可愛らしい。
「あ、あれでしょ? ボクがこの間、朝日奈さんの女らしさを磨くために彼氏役っていうシュミレーションをしたからそのついでで」
「ついでじゃないよ!!」
「ついでじゃないの?!」
今の話を総合したらそういうことじゃないの?! 助けて霧切さん!!
「……ついでなんかじゃ、ないよ」
付け加えられた一言には、返事をしてはいけないような気がした。聞き逃したわけでは、もちろんなかった。
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