14:名無しNIPPER[saga]
2015/09/24(木) 16:48:04.74 ID:VB0G/KlUo
「まぁ、なんでもいいけどさ。
人間って儚いって事だよ」
「それは同意だな。儚い、良い言葉だね」
「良い言葉とは、思わないけどな」
空を仰ぎながらあっさり僕の言を一蹴する後追。
僕も儚いという言葉、実の所全然良いとは思ってないのに
その場の雰囲気的にこう合わせてやったのだが、まさかの展開だった。
裏切られた気分だ。マラソンでのスタートダッシュに似てる。
「儚い。今にも消えそうで、朧で、曖昧で、有耶無耶で。
手を伸ばせば掻き消えて失せてしまいそうな、存在。
俺は決してそんな物が良いとは思わないし、思えない」
呟くように口にしてから、
彼は逃げるように屋上の唯一安全な出入り口である
錆びた鉄製の扉に向かって言ってしまった。
「帰るのかい?」
「あー、いや。教室に戻る」
「ふぅん」
言って、別れの言葉もなしに重い扉が軋む音と
それから大きな閉じられる音がして後追の姿はここから消えた。
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