過去ログ - 妹「お願いだから死なないで」
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8:名無しNIPPER[saga]
2015/09/24(木) 16:34:33.15 ID:VB0G/KlUo

「君は妹さんが可愛くはないのか?」
「可愛いとは思うよ。客観的に見てあれは美人だ」
「そういう意味じゃない掃村。愛着とかそういう意味だ」
「ないよ。兄弟は他人の始まりって言うしね、
 血の繋がりがある訳じゃない、同じ血が流れてるだけだ。
 だったら君と僕も同じことだろう」
「淡白だ、冷淡と言っても良い。
 まがりなりにも十数年の時間を共にしてる癖に」

 時間、ね。
問題なのは時間じゃなくて距離だ。
百万光年じゃないが、どれだけ同じ時間を過ごそうと距離があればそれは親密ではない。
僕と深巫は親しいけれど、それは時間を長く過ごしたからではなく
単に距離の問題だ。 同じ時間という意味なら、同級生諸君とは二年と少し過ごしているけれど、
僕はその中で親しいと思える人間なんて結局片手で数える程度しか居ない。
つまりは、そういうことだ。

 そんな、まぁ世間一般とは少しばかりずれた
華も咲かない世間話に興じているとガラリと黒板側の扉が開く。
HRまではまだしばらく時間があるので教師ではなかろうと扉の方を向くと
案の定クラスメートが一人、扉付近の女生徒と挨拶を交わしながら自分の席に歩いていった。
僕はその様を横目で眺めながら会話を続ける。

「十数年一緒に過ごしてるからこそ、
 あいつがもう手遅れだって事がわかるんだよ」
「手遅れ、ね。私はそう思わないが」
「深巫はそうかも知れないけれどね」

 投げっぱに言い放つ、
この話題はこれで終わりにしようという合図だ。
なんで自分の妹の狂いっぷりについて歓談しなくてはならないのだ。
僕は少し息苦しさを感じながら制服の首元を指で引っ張る。

「ふむ、保健室にでも行っとくか?」
「どうしてだい?」
「首に痣が残っている」
「……」


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