過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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11: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:38:36.24 ID:jH77HIQDo
「岡部倫太郎……」

「…………」

 紅莉栖は目を見開き、驚きの表情を隠せないでいた。だがそれもすぐに伏し目がちに視線を落とし、後ろを向いて消え入るような声でつぶやいた。

「……ごめん」

 謝罪の言葉。
 負けん気が強く、少しのことでは反論をやめない紅莉栖にしてはやけに素直というか……正直肩透かしを食らったような気分だった。
 俺の隣で鈴羽が困ったような表情をしている。ラボメンである紅莉栖を慮ってのことか、もしくは俺が声を荒らげたことに対する困惑か。今の鈴羽は、”昔のような”敵愾心を紅莉栖に抱いていないはずだから、本気で困っているようだ。
 いや、はたしてどうだったか。
 幾度と無く繰り返した2日間以前のことは、もはやぼんやりと霧がかかっているような状態でよく思い出せない。俺にとってあの2日間が、全てだったのだから。
 視線を紅莉栖の方へと戻すと、わずかながら肩が震えてるような気がした。
 泣いているのだろうか?
 そんな紅莉栖の背中を見てバツが悪くなり、俺は「俺の方こそ……すまない」と謝罪した。
 紅莉栖なりに俺達の事を心配した結果なのだろう。それを表現する言葉が足りないだけなのだろう。

「紅莉栖、お前は自分の考えがあって引き止めているんだろう。分かってくれとまでは言わない。だが俺はこのまま何もしないでまゆりを見殺しにすることはできない。かと言って、鈴羽の思い出を消すこともできない。これは俺の──俺たちの出した選択なんだ」

 そう言ってもう一度鈴羽の方に顔を向ける。心配そうに眉間に皺を寄せていた鈴羽は俺の言葉によって表情を引き締めた。

「牧瀬紅莉栖、君はきっと、予想以上の世界線のズレを懸念してるんだろうけど……こればっかりは譲れないよ。……あたしだってみんなの願いを投げ出してここでのうのうと生き続けるわけにはいかない。例え失敗する可能性が高くても、あたしたちは行く。それが2人の出した結論なんだ」

「…………」

 俺は出来うる限り言葉を選びながら紅莉栖の背中へと言葉をかける。鈴羽も自分なりの精一杯の答えを彼女に告げる。だが彼女は黙ったまま微動だにしない。


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