過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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4: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:24:46.73 ID:jH77HIQD0
 2010年 8月13日



 俺たちを新たな未来へと導く機械は、変わらずラジオ会館の8階の壁を割って鎮座していた。
 日はすっかり傾き、ひしゃげた大穴から燃えるような赤い光が差し込んできている。薄暗い室内が、その光の赤さをより際立たせた。
 歩を進めるに連れて一層強くなる真っ赤な陽差し。俺は飛び込んでくる西日に目を細めながらぼそりと呟く。

「行き先不明の片道切符……か」

「ねえ岡部倫太郎……」

 俺のすぐ後ろを付いてきていた鈴羽が、不安そうな口調で言う。

「どうした?」

 俺は振り返って鈴羽の顔を見た。鈴羽は伏し目がちに表情を曇らしている。

「もしも……もしもあたしの記憶が欠落していたら、殴ってでも取り戻させて欲しい。使命のことはもちろんだけど……父さんに会えたことやラボメンになって皆と過ごした日々を、あたし……忘れたくないよ……」

「……わかっている」

 殴ってでもというのは気が引ける──というより、おそらくは返り討ちにされるだろう──が出来るだけの努力はするつもりだ。俺としても、鈴羽の中から俺たちの存在が消えてしまうのは許したくない。
 鈴羽は拳を握り小さく震えている。
 不安なのだろう。それもそうだ。鈴羽にとっては高い確率で記憶を失うことが分かっていながらの時間跳躍なのだから。俺が一緒に行くことで世界線変動に大幅なイレギュラーが発生してくれればいいのだが。 
 などと考えていると、鈴羽が俺の胸に頭を預けてきた。鈴羽の温もりが胸に伝わってくる。



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