過去ログ - ?「咲が好きなのは私!」咲「ふえ?」
1- 20
261:名無しNIPPER[sage]
2016/01/26(火) 10:16:15.73 ID:0Ojuqll6O
>>165-166
>>179-182
続き


長いーー夢を見ていた。出会った日からこの日までの、長い、とても長い道のりを。

そのすべてを乗り越えて。障害を取り払って。ネリーは今ここにいる。サキの隣を歩いている。

「へー、そんなことがあったんだ」

「うん。今日はちょっと……失敗しちゃったな。お姉ちゃんにひどい事言っちゃった……」

あの妹狂いにはちょうどいい薬だと思うけどな……というか、良い気味だ。うぷぷ。

なんて本音は微塵も出さず、沈痛を装ってサキの話を聞く。

「そっか……でも結果的にはよかったんじゃない? テル……さんをもっと傷つけちゃう前に気づけて」

「そう、かもしれないけど……」

サキの曇った表情は変わらない。大方、少なからず傷つけたのを気にしてるんだろうけど……気に病みすぎでしょ。シスコンか。……まあ、シスコンだろうね。はあ。

調理場へと続く板張りの廊下を歩きつつ、頭を悩ませる。

あーあ、あの邪魔なの(姉)、合法的に排除できないかなあ……。

「あっ、っていうかごめんね。起きたばっかりなのにこんな話ずっと聞かせちゃって」

たしかに起きて早々じめじめした話を聞かされるのは気持ちのいいものじゃない。けど、それがサキの話なら。聞かないという選択肢はない。むしろ聞けない方が気持ち悪いし寝覚めが悪い。

ただそんな事を口にするのは何か悔しいので、あえてそっぽを向く。

「ホントだよ。寝起きのすっきりした気分が台なし」

「ご、ごめん……ほんとうにごめんね」

廊下の両端に沿って続く漆喰の壁に顔を向けたまま、瞳だけ動かしてサキの姿を横目で捉える。

案の定、悪びれて心底申し訳なさそうに眉尻を下げたサキの顔が目に入る。

扱いやすいなあ……ネリー的にはいいけど、他の人にもそうっぽいから複雑……。

騙したままというのは寝覚めが悪いので、振り返って笑顔でサキのほうを向く。

「なんてね。話してくれてうれしいよ」

「え……?」

ぱちぱちと目を瞬かせてサキが呆然とする。

意外そうな顔。何だか間抜けだけど結構かわいい。

もっと驚かせてやりたくなる衝動を呑み込み言葉を継ぐ。

「あはは、間抜け面っ」

「え、……え?」

「からかわれたんだよ、お前はな」

その時だけ老兵のような渋い表情を作り、言い放ってやる。

するとサキは可愛らしく柳眉を逆立てて恥ずかしそうに顔を赤らめた。

「も、もう! ……またからかわれた」

「また?」

しょんぼりと肩を落とすサキに首を傾げる。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
541Res/202.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice