16:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:08:02.09 ID:Csg2FCKN0
ひっそりとした店であったので、店内もそのような様子だと想像していたが…… 予想に反してなかなかの広さだった。
木目調のテーブルやカウンター、壁に飾られた絵画、隅に置かれた観葉植物。
落ち着いていて、どこか気品も感じられるような…… そんなシックでおしゃれな店内。
そんなところに俺のような人間が来てしまったのはとんでもなく場違いにも思えたが後の祭り。既におしゃれな制服を着たウェイトレスがやって来て「お好きな席へどうぞ」と通されてしまった。
時刻は正午を回っているが、それにもかかわらず客はまばらである。
都会の真ん中で、しかも書き入れ時と言える時間帯に―― 人の心配をしている場合じゃないが、思わず「大丈夫なのか?」という言葉がよぎった。
まあ、俺にとっては好都合か―― 人ごみは苦手だし、座れるのだし。
お好きな席へ…… ということだったので、空いている席を探す。
通りに面した窓際、一番奥。そのボックス席が目に入った。
客もまばらだし、腹を満たしてすぐに出れば問題ないだろう。
一人でゆったりとボックス席を使わせてもらう。
着席して早々、先ほどの店員が来てお冷とメニュー表を置いていった。
早速メニューを開いてみる。
値段はわりかし高めであったが、このような喫茶店では相応の設定だろう。しょうがない。
その中でできるだけ安く、かつ腹を満たせるようなメニューを探す。
BLTサンドとアイスコーヒー―― 君に決めた。
そうしてメニューを決めて、店員を呼び注文を済ませる。
注文の品が届けられるまでの間、手持ち無沙汰な時間がやって来た。
一人なのに―― 手持ち無沙汰。
おしゃれな店内でかえって落ち着かない、客が少ないのが唯一の救いだ。
例えるなら…… DVDなどのレンタルショップ、その18禁コーナーに初めて入ったあの時のような。
これはまずかったか…… ともかく、そんな心境だ。
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