23:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:34:03.61 ID:Csg2FCKN0
「あの、ほんとに通して…… ください」
可哀想に…… こんな人間たちに絡まれて。
ああ、BLTサンド美味かったな。ご馳走様。
そして目の前の光景よ―― 他人の不幸で飯が美味い。
「通して――」
しまった…… 女と目を合わせてしまった。
良心が俺に問いかける。
その瞳は「助けて」と俺に訴えている…… 気のせいだって? ああ、そう思いたいよ。
しかし、彼女の瞳は俺に訴えかけている。
灰色の透き通った瞳が潤んでいる。
外国人なのか……? いや、でもさっき「彩音ちゃん」と呼ばれていた。
しかしどう見ても一般的な日本人の容姿とはかけ離れた姿をしている。
ストロベリーブロンドとでも言うのか? ピンクがかった金髪を一つにまとめてポニーテールにしているし、瞳は灰色。雪のように白い肌、おっとりとした美しい造りの面。少し肉感のある魅力的な体つき…… そこにピッチリと着込んだワイシャツとスーツパンツ。
日本人でも、外国人でも―― この世の者とは思えない、そんな妖しい美しさを持った女。
なおもマルチグループは女を通そうとしない。
最早彼女が「YES」と言うまでそこをどく気はないのだろう。
戸惑い、瞳を潤ませる女…… 今にも泣き崩れてしまいそうな様子だ。
そこへ男どもは詰め寄って「君を思って言っているんだよ?」とか「大丈夫、今は泣いてもいいよ。これからきっと笑える日が来るから」などと甘い言葉をかけている。
彼女が泣いているのはお前らのせいだろう…… 思わずツッコミたい衝動に駆られた。
チラリ、チラリ。
女の視線が痛い。
何だ、俺に「助けろ」とでも言うつもりか?
だいたいどこで知り合ったか知らないが、ポンポン付いて行くアンタが悪いんだからな(俺も人のことは言えないが)。
どうせSNSだのなんだので「お昼だけでもどうかな?」とか誘われたんだろう。
そして実際に来てみれば…… ご覧の通り、知らない男が二人。
チラ…… チラ。
何だよ。
俺にどうしろってんだよ…… こんな俺に。
俺は底辺のクズだ、そこにいる三人と同じような人間だぜ。
人の不幸で飯を食うような最悪の畜生だ。
人の不幸で……
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