29:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:57:20.80 ID:Csg2FCKN0
「君たちも分かっているのだろう―― 真面目に働くのが一番だということに」
どの口が言うのだ。
「は…… はい」
ニートが説教する日が来ようとは、我ながらビックリである。
それも全部ブーメランだ。
自分で言っていて悲しくなる…… 自分に言い聞かせているようにも思えてきた。
「だったら―― こんな勧誘止めたまえ」
「は、はい……」
「君たちは社会人か?」
「大学生です……」
「それならまだ間に合う、もっとよく考えてから行動したまえ。このことが大学に知れたら大変だろう?」
「すみませんでした……」
てっきりドップリ洗脳された信者なのかと思ったら、根は真面目そうな学生じゃないか。
それに反論してくるかと思ったら、案外すんなり事が運んで驚きだ。
「私に謝ってどうするのだ―― 謝るべきは彼女じゃないか?」
いつの間にか置いてけぼりの状態であったストロベリーブロンドの女に再び注目が集まる。
「すみませんでした」
そして謝罪…… こんな展開になるとは誰が予想しただろうか。
自分でも夢のようだ。
三人は女に頭を下げ、対する女は困惑した様子で「は、はい……」とタジタジになる。
怒りもせず、不快も示さず、ただ挙動不審に戸惑うばかり。
「君たち、この店で何をしている!」
そして―― 今更登場した店主。
もう遅いです、ありがとうございました。
俺は早くこの場から立ち去りたい思いと、それから羞恥心があって、店主が三人に絡んでいる隙に陰で会計を済ませ、そうして店を出た。
疲れた…… もう今日はさっさと帰って寝よう。
まだ昼だけど。
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