30:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 05:01:04.80 ID:Csg2FCKN0
こっそりと喫茶店を出て―― 時刻は13時を少し過ぎていた。
ため息を一つ吐いて、また当てもなくさ迷い歩く。
「あの…… すみません!!」
緊張のピークが過ぎて心労が押し寄せてきたところだった。
「先ほどはありがとうございました」
後ろから声をかけられて振り向くと…… そこには先刻マルチグループに絡まれていたストロベリーブロンドの女がいた。
呼吸を整えているところから見て、俺を走って追いかけてきたのだろう。
「あ、いえ……」
こんな立場になってからは他人とまともな会話をしてこなかったので、急に話しかけられると緊張してうまく言葉が出てこない。
「いや、あのー……」
「もしかして―― あなたが神様ですか!?」
「――は?」
神様? 一体どういうことだ?
「先ほど助けていただいた際に『教主』だと――」
やってしまった。
しかしあれを鵜呑みにしていたとは…… それにしても教主が「神様」とは、この女ひょっとすると危ない感じの人間なのでは……
「まさか神様が日本にいらっしゃるとは」
おいおい、待て。
もう何が何だか…… この女やっぱり危ないぞ。下手したらさっきの男たちより。
俺をおちょくっているようにも見えない。
困惑し閉口する俺を置き去りに、女は嬉々とした様子でぺらぺらとまくし立てる。
「なんとお礼をしたらよいか…… 感謝してもしきれません! これが神様の奇跡なんですね!」
「あのー……」
「私のような『悪魔』も救っていただけるとは…… 神様の御心、その大地のような寛大さは――」
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