40:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 05:52:53.78 ID:EwL7hHPK0
悪魔将軍、だって?
何だその世紀末みたいな響きは。どこぞやの大魔王か?
思春期特有の妄想がまだ抜け切れていないのだろうか? 何歳だか知らないけれど、少なくとも俺とそんなに離れているわけではないだろう。そんな大人の立派な女性から頓珍漢な言葉が放たれたのだから、これはもう驚愕以外、反応の選択肢はない。
「そう、悪魔将軍。悪魔の将軍だ」
しかし当の本人は真面目も真面目な顔で言い放つ。
「ふむ…… 私の正体を知られた以上、たとえ人間だろうと説明しなければならないだろう」
いや、正体を知ったのはそうだけど、そちらからバラしてきたんだが。
「説明を頼む―― 彩音」
「はい、玲子様」
頼んでもいない、うんともすんとも言っていないのに勝手に説明を始める。
「信じられるかそうでないかはともかく―― 私たちは悪魔なのです」
いや、信じられるわけがないだろう。
「ちなみに悪魔というのは、地獄界に住む種族のことです」
そんな世界があるのか…… いや、そんなわけがないだろう。
「地獄と聞くと、善次郎さんはどんなイメージをお持ちですか?」
何も言えずに呆然とする俺を見て、しっかりついてきているか反応を窺ってくる彩音。
「地獄…… 『悪事を働いた人間が死後に落とされる世界』ってイメージですかね」
「実は違うのです」
「はあ、そうなんですか」
「そうなんです―― 地獄はあくまでも世界の一つで、人間は関係ありません。そして悪魔も同様にただの種族の一つというだけなのです。決して邪悪な種族ではありません、ただ悪魔という名前をしている種族ってだけのことなのです」
ややこしいことこの上ない。
だったら悪魔というネーミングはどうなんだ。それとも人間が勝手に悪魔と名付けただけのことなのか。
「それで悪魔がこの世界…… 人間界でしたか? この世界に何で来られたのですかね?」
信じているわけじゃない、信じられない、そして受け入れているわけでもないが…… 最早呆れ半分で適当に相槌を打つ。
「それは――」
彩音が少し口ごもった。
「――人間界を支配しに来たのだ!」
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