42:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 06:02:26.15 ID:EwL7hHPK0
「そうだな―― しかしそうできないから地道に出ているわけだ」
説明役を放棄していた玲子がそこで間に入ってくる。
「我々は天使たちと睨み合いをしている…… 従って少しでもパワーバランスが崩れれば一気に攻められる恐れもあるのだ。現在は直接的な戦火は交えていないものの、依然として緊張状態は続いている」
「冷戦みたいな状況ですか……」
「そうだ。だからこちらへ大軍を寄越すわけにもいかないのだ。そんなことをしたら天使共も黙ってはいない。侵略行為に対する正義の戦いという大義名分を与えてしまうことになるからな」
「そしたらこんなところにいないで首相とか大統領とか一番偉い人に協力を要請した方が……」
「善次郎くん、君は悪魔という存在を信じられるか?」
正直言ってこんな説明をされても依然として半信半疑…… いや、90数パーセントは疑っている状態だ。誰だってそうだろう、半分も信じられない。
「君の反応を見れば分かる通りに、我々のことを空想上の存在だと思っているだろう…… ましてや姿も君たち人間と同じようなものだ。そんな状態で『私は悪魔なんですけど』なんて言ったところで『こいつおかしい人だ』とスルーされるのが明白だ。それに表立って大々的に行動すれば天使たちに知られてしまう恐れがある」
「それならさっき言ってた魔術とかそういう力でなんとかすればいいんじゃ……」
「地獄界と人間界は仕様が異なるようだ。魔術を使役するには魔力がいる…… あちらにはそれが漂っているものだが、こちらはそうではない。魔力に乏しい人間界で出来ることは限られている」
「タバコに火をつける程度しか使えない―― ということですか?」
「まあ、腑に落ちないがそのような解釈で結構だ―― 私は優秀だから、私の場合は別だけど」
「……」
「何だその顔は。何とか言え」
「それなら―― イメージアップって言ったって、どうやってそうするつもりなんですか?」
イメージアップって言ったって、まず悪魔の存在が公になっていない以上何をしても無駄だと思うのだが。
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