68: ◆EqCbwCCNbg[saga]
2015/10/31(土) 00:39:05.40 ID:GIg5uEo/0
[10月30日]
自分で考えた贈り物を人に渡すのは存外に勇気のいる行為だ
こんなことなら無難に間宮券にしておけば…などという思考が頭をよぎるくらいである
だが明石に仕上げてもらったこの贈り物、自分のデザインが信じられなくとも彼女の腕を信じないなどあってはならない
意を決して大淀を呼び止めたのは今日の仕事も終わりさぁ自室に戻ろうというタイミングであった
自身の緊張などおくびにも出さず、なるべくさりげなく、軽い感じで日頃のお礼だとペンを渡す
あっけにとられたようにペンを受け取り、それをしげしげと眺める大淀
そしてポツリと呟いた言葉は「かわいい…」であった
内心で思い切りガッツポーズを決めつつ、「それは良かった」と返す私は平静を装えていただろうか?
いつこんなものを買ったのか?と不思議がる彼女に明石に加工してもらった事を教えてやると大いに納得したようだ
だがついでにデザインは私がしたことを伝えると「嘘でしょう…!?」と驚愕されてしまった
そりゃあ私の柄ではないのは百も承知だがそこまで驚かなくてもいいだろうに
改めてペンを観察する彼女の目つきは先ほどとは打って変わって真剣だ
とりあえず気に入ってくれたようで何よりである
まるで宝物のように両手でペンを握り締め「大切に使わせていただきます」と微笑む大淀を見て、私はこの作戦のS勝利を確信することができた
この笑顔のためならこれまでの苦労など安いものだ
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